ホーム : 京町家、数奇屋造りの石仕事

京の石文化を守り継ぐ。
社寺・一般建築石材について

京町家、数奇屋造りの石仕事

■京町家の再生

京都の美しさを伝える風景として「京町家」の存在はかかせません。黒やこげ茶に塗られた木造家屋の正面には、格子入りの窓と引き戸。軒には一文字瓦をのせ、二階の白壁には虫籠窓(むしこまど)。夏は西側のガラス窓に簾もかかり、チリンと鳴く風鈴の音は風物詩でもあります。
京町家は「うなぎの寝床」と言われ、間口が狭くて奥行きの深い佇まいですが、そこは“職住の家”としての知恵と工夫がいろいろ詰まった空間でもありました。

畳サイズの違い

通りに面した部屋は店の間として仕事場に使われ、その奥と上が家人の住まい。店の間の先は「通り庭」と言われる土間が、奥の庭まで続きます。暖簾ひとつで土間の入口を内と外に分け、内には井戸や“おくどさん”と呼ばれる竈(かまど)を配した台所が広がり、見上げるほどの吹き抜け(火袋)の天窓からは光が入り、調理の熱や煙が抜けます。
奥には小さいながらも庭があり、柿、梅、南天、椿などの木々や燈篭、蹲、飛石などでレイアウトされて、四季の彩りが楽しめるとともに、店先からの風の通り道でもあります。室内には京間という幅広い畳が敷かれ、襖を開けると急な階段が出現したり、階段に収納箪笥があるなど、限られた空間が最大限に活かされています。夏が暑く冬の寒い京都ならではの家の形ですが、私たちの店も15年程前は、そのような建物のひとつでした。

京町家

京町家

いま残る町家は“蛤御門の変”後の建物と言われていますが、町家の歴史は古く、京都では平安時代にすでに存在していたようです。特に商工業が発達し始めた鎌倉後期から安土桃山時代は、町家も多く軒を並べていたようです。一説に秀吉の時代に間口の広さで税が決まっていたから間口の狭い家が増えた、というのは正しくないそうです。

つい最近までは京町屋も建替えや住替えで激減していましたが、佇まいの美しさが見直され、また耐震改修に対する京都市の助成もあって、お洒落なレストランや店舗、宿泊施設に生まれ変わった建物が増えました。何軒も町家が並んで再生されることは、景観が良くなり地域的にも活性化するため、京都に住む私たちにとってもうれしいことです。



■数奇屋造りの復活

和風木造住宅

京町屋が賑わっていた安土桃山時代は、茶の文化も隆盛を極めた時代でした。“侘びさび”で表現される茶ノ湯は、茶室や庭の作りにも美しさを求め、その極致として数奇屋造りの建物が発達したようです。“数寄屋”はもともと茶室のことを言い、江戸時代以降に住宅などに形の幅を広げ、今では高級な木造住宅だけでなく、料亭や旅館の造りにも多く見受けられます。特に京都では中村外二さんと言う、日本一の数奇屋大工の棟梁が活躍され、日本全国に素晴らしい建築物が残され、今もその“匠の技”は確実に伝承されています。

長年の景気低迷は、高級な数寄屋造りや和風木造住宅の建築数を減少させていますが、いつの時代にも“高級志向”や“本物志向”の方々は確実においでになられます。また近年は、行き過ぎた欧米化の反省から日本の伝統文化を見直す傾向が強く見られます。デフレスパイラルなどと言われますが、谷深ければ、山高しという言葉もあります。
今後、日本経済の復活が堅調になってきた時また、数寄屋造りや和風木造住宅の建築数も復活するのではと期待しております。「和のカタチと心」を大切にしたいと、京都に住む人間だからこそ、余計に強く思っております。



■町家、数寄屋造り、木造和風住宅を支える石仕事

上がりかまち

京町屋の再生は基本的には既存の石材を活かして行います。でも損失や消失した石材は、新しく造らなくてはなりません。また新しく建てられる町家風の店舗や数奇屋造り、木造和風住宅にはもちろん新しい石の加工と使い方が必要です。石の使い方にしても、丹波石の根石、御影石の敷居、玄昌石の床貼り、鞍馬石の沓脱石など、さまざまあります。また、ビシャン、小叩き、平安と仕上げ技術も多様です。

特に石の施工は設計の先生や棟梁の、図面とイメージに基づいた完成度が必要です。そしてそのためには長年、石の仕事に関わってきた人間としての適切な提案も求められます。自然の趣を考慮した石の選択から、ミリ単位の床貼り仕上げまで、プロの建築家の厳しい目に応え初めて“ホンマモン”が作られると考えます。

私たちは全てお預かりした図面を基に、営業担当が石の施工図面と加工図面をCADで作成します。また施工内容に応じた経験豊かな石工を選び、作業能率と完成度を高めることに、こだわってっています。

私たちは京都で長く社寺建築の石工事に関わり、また多くの町家や数寄屋造りの建物など、数多くの和風木造住宅を建てるお手伝いをしてまいりました。その経験と実績を踏まえ、さらに知識と技術の研鑽に努めていきたいと考えております。

《建築石材工事の営業・施工管理の一般的流れ》

建築石材工事の営業・施工管理の一般的流れ

↑ページ先頭へ