玉垣を築く
■玉垣(たまがき)とは
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堺・大仙公園 |
玉垣とは、神社の境内の周りを囲んでいる木や石でできた境界の柵のことを言います。玉垣の“玉”の字は神聖なもの、美しいものを指しており、玉垣とは「神聖な神様を囲む垣」という意味だと言われています。神社では比較的、石の玉垣が良く見られると思いますが、この玉垣を支える土台は、石積みのものや、壇上積みに亀腹を配したものなど、神社によりいろいろ見られ、あまり定型はないようです。
基本的に玉垣は、頭を三角錐に絞った四角柱(親柱と子柱)と笠石、地覆石で構成されています。玉垣の端はしに親柱を置き、その間も等間隔(数M毎)に親柱が立ちます。親柱と親柱の間には地覆石が敷かれ、地覆石の上に子柱が数本立ち、子柱の頭上に笠石がのせられます。
※笠石がなく、柱と柱の間を石や金属の棒で繋ぐ形も良くあります。
■玉垣の老朽化と修理
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出雲神社京都大教会 |
昔からの玉垣は長年の風雨にさらされ、土台の内部に水が浸透し、中の土がやせて石積みが壊れたり、上の玉垣が前に傾いたり、破損することがあります。基礎も現在ほど強固でなく、地中の土が流動化し、玉垣の重量に耐えられず、全体に沈下することもあります。また、柱石の間を金属で繋いだ玉垣に良くある例では、柱石に穴が貫通しているため、石の薄い部分が風化し割れ落ちることがあります。
傾いた玉垣の修復は、基礎のやり直しから考えることも必要です。以前の例ですが、玉垣近くの池の排水土管が知らぬ間に地中で潰れて、水が地盤に浸透してしまい、全体が傾いた玉垣がありました。この場合は、池の底を粘土で補修し、地盤を土壌改良剤で整備してから、基礎を打って建て直しました。また基礎地盤の下に、建てた時は気づかなかった昔の腐葉土があって、沈下したなどの例もあります。いずれにしても何度も行えるものではないので、根本原因の解消をしてからの建て直しが大切です。
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本能寺歴代墓 |
また、古く割れた名入りの柱石は、以前ご寄進された方のご親族がおいでなら、再度、ご寄進をお願いし、おられない場合は新たに、ご寄進者を募ることになります。以前建てられた玉垣は、だいたい国産の石を使って、国産で加工したものと思われます。その点、最近は外国産の石材を使って、外国での加工が可能ですから、製品自体は以前より安価に製作ができると思います。施工についても、近年は、手元でリモコン操作ができるクレーンの普及でずいぶんと効率良く作業できるようになりました。むしろ既存の石材を丁寧に解体して建て直すより、新しい材料で建てたほうが手間も少なく、安価にできることもあります。
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松尾神社 |
傾いたり崩れ落ちた玉垣はたいへんに危険です。お参りの方や遊んでいる子供に事故がないとも限りません。早めの修復や新設をお勧めいたします。まず、正確なお見積もりを取られ予算設定をし、具体的にどれだけのご寄進料になるかを決め。初めて実現可能かの判断ができます。玉垣の修復だけでなく修復記念碑などを作り、ご寄進料を押さえ、広くご寄進をお願いされるケースも見られます。昔からの地域に根付いた神社の玉垣だからこそ、大切に、次代の子供たちへも繋げていけたら良いのですが。
■主な玉垣を築く石仕事
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