来待石(島根)
あたたかみのある石肌の来待石
島根県・宍道湖の南岸(松江市宍道町来待地区)で切り出される、凝灰質砂岩。柔らかくあたたかみのある色味と石肌が特徴。国指定の伝統的工芸品「出雲石灯篭」の石材として知られています。
・時代を超えて愛される石
来待石の歴史は古く、古墳時代の石棺や石室に使われたのち、鎌倉時代からは石塔や石仏などの彫像、かまどや石臼などの生活用具、庭園石材、建材など、幅広く用いられました。江戸時代は、松江藩主が藩外へ持ち出しを禁じたほど重宝されます。江戸後期には、石灯篭や狛犬などの来待石製品が好評を得て、全国各地へと広がりました。現在は、国指定の伝統的工芸品である「出雲石灯篭」の石材として知られています。
・味わい深い茶褐色で、温かい表情が特徴
砂岩特有の、穏やかな風合いと石肌が評価されています。石質は粒子が緻密で、やわらかく、切り出しや加工がしやすいため、気品高く優雅な作品が仕上がります。
・わびさびの美意識に馴染む風合い
切り出された時は、青味を帯びていますが、次第に水分が抜け、趣のある茶褐色のやわらかな風合いに変化します。この風化のしやすさは、もろさに繋がりますが、日本人はそこに魅力を見出してきました。新しい製品でも古色を感じさせ、苔がつきやすく、自然と溶け込むため、日本庭園に欠かせません。